地盤改良工法の種類と選択

2021年03月09日 地質

  • 土木工事のひとつである地盤改良の工法には様々な種類があります。地盤や周辺環境の特性に応じた地盤改良を行うことで、沈下や液状化のリスクを減らし、社会インフラの安全が守れます。この記事では、地盤改良工法の種類と特徴を説明しました。

軟弱地盤や、一帯が盛土や埋め立てで造成された土地、かつて陥没が起こった土地においては、地盤改良を行います。地盤改良は、軟弱地盤に固化材を添加するなど人工的な措置を行って地盤の強度を増すことです。

地盤改良工法の種類は数多く、地盤の地耐力(N値)、地質、軟弱地盤の深さ、地盤上に設ける構造物の大きさや重量、周囲の土地に関する情報を考え合わせて最適な工法を選択します。

代表的な地盤改良工法を3つ紹介します。浅層・中層改良工法は、軟弱地盤の深さが地表から2m~3mのケースでよく適用します。軟弱地盤を掘り、セメントまたはセメント固化材を土と混ぜ合わせた上で転圧します。バックホウやローラーを用いて行う工事です。軟弱地盤が浅い土地では費用を抑えられることが多いです。また、他の工法と比較して小型の重機で工事できます。

柱状改良工法は軟弱地盤が2m~8mの場合によく用いられる地盤改良工法です。地中に穴を開けながら強度のある地盤まで掘り進めます。掘削と同時にセメントミルクを注ぎ込んで土と混ぜ合わせることで、円柱状の強固な地盤を地中に造成します。この円柱状の地盤を何本も作ることで、地盤全体が安定するのです。柱状改良工法も比較的安価に施工できる工法といえます。また、支持層(沈下の恐れがない強固な地盤)が地中になくても工事できる点が強みです。

鋼管杭工法は、杭打ちすることで地盤改良する工法です。軟弱地盤の深さ8mを超える場合も対応できます。柱状改良工法がセメントミルクを用いるのに対し、鋼管杭工法では鋼管を地中に何本も打ち込むことで地盤の強度を高めます。軟弱地盤の深さに応じて鋼管を溶接し繋げていきます。高い強度を実現でき、しかも地盤上に重量のある構造物を築く際も向いています。

地盤改良においてセメントやセメント固化材は最もよく使用される固化材です。セメントの他、石灰や砕石を用いた地盤改良も行われています。固化材の選択も地盤改良後の強度発現に大きく影響します。安全性と経済性を考慮して工法や固化材を選択する必要があるのです。