鋼管杭工法について特徴と種類を解説

2021年07月06日 地質

鋼管杭工法について説明します。数多くある地盤改良工法の中で、鋼管杭工法は施工実績の多い、ポピュラーな工法といえます。鋼管杭工法の施工方法や、浅層中層改良や柱状改良と比較した上のメリット・デメリット、鋼管杭工法の種類を紹介しましょう。

鋼管杭とは、地盤改良において地中に打ち込む鋼製の杭のことです。鋼管杭工法とは、鋼管を杭状に貫入し、地盤上の構造物の荷重を堅固な支持層に直接伝えることで地盤および構造物を安定させる工法です。支持層が地中深くにあり、柱状改良工法では支持層まで届かない場合にこの工法を使うことが多いといえます。

鋼管杭工法による地盤改良のメリットは、柱状改良工法と比べて小型での重機による施工が可能なこと、短期間で工事が完了すること、重量のある構造物を支える力が強いこと、土地の資産価値が低下しにくいこと、六価クロムが発生する心配がないことです。

一方、鋼管杭工法による地盤改良のデメリットは、費用が高くなる傾向があること・施工時に騒音や振動が発生しやすいことがあげられます。また、支持層がない土地では施工できません。

鋼管杭工法の施工手順を説明しましょう。

1.専用機を用いて杭を所定の位置に固定します。

2.垂直になっていることを確認したうえで地中に押し込みます。

3.杭の長さが足りない場合は、金具をセットして溶接し、引き続き押し込みます。

4.支持層に到達するまで押し込んで杭を定着させます。

施工においては、杭を垂直に打ち込んで支持層まで到達させるとともに、接続部の溶接を確実に行うことが重要です。

鋼管杭工法にはさまざまな種類があります。

小口径鋼管杭工法は口径が101.6mm267.4mmの鋼管杭を用いる工法です。地震などによる液状化の影響を受けにくいという特長があります。

木杭工法は環境負荷の小ささや費用が安い点が評価されています。「木杭は腐るのでは」と心配されることがありますが、地下水位より深く杭が埋められている場合、心配不要です。

既製コンクリート杭工法は大規模な構造物を築く際によく用いられますが、戸建て住宅での使用例も増えています。支持力が大きい一方、コストが高い点がデメリットです。

回転杭工法は、先端に羽根を付けた鋼管杭(羽根付き鋼管杭)を回転させて地盤に突き入れる工法で、引き抜き抵抗力が大きい・残土の排出がないなどのメリットがあります。

土質や土地の成り立ち・周辺環境などを考慮するとともに、予算や工期など施工条件に合った工法を選択することが大切です。