道路の土質改良で使われる石灰

2020年12月14日 路床

道路の土質改良においては、石灰が使われるケースもあります。石灰を使った土質改良はセメントと比較し恒久性が劣るものの、可塑性がある点が特徴です。この記事では、道路の土質改良で使われる石灰の種類や添加量、生石灰で地盤を改良できる仕組み、土質改良工事の流れについて説明します。

道路路床の地盤改良に際して、軟弱地盤にセメントまたは石灰を混ぜ合わせることで、対象とする土の物理的・化学的性質を改善し、強度増加させることを安定処理(土質改良)と呼びます。

土質改良におけるセメントと石灰の違いは、恒久的な強さを求める場合はセメント、可塑性を求める場合は石灰が向いているという点です。『石灰による地盤改良の手引き』(日本石灰協会)()では、石灰を使う利点を次のように設定しています。すなわち、低強度から高強度まで、ケースに応じたレベルの改良強度を発現させやすいこと・施工性を早期に改善できること・ヘドロや有機質土などにも使えること・再固化や長期仮置きした場合も強度を確保することです。

土質改良で使う石灰の種類は、生石灰・消石灰・湿潤消石灰・石灰系固化材(改良材)です。

生石灰は水分の多い地盤に、水分が少なくてそこそこの強度がある土には消石灰または湿潤消石灰が使われます。柔らかい土に生石灰を混合すると強度が増すのは、地中で生石灰が消石灰に変わる過程で多量の水を吸収し、時間の経過と共に石灰及び土が化学反応で結合し固まるためです。

石灰系固化材(改良材)は生石灰及び消石灰をベースにさまざまな成分を添加したものです。石灰系固化材は日本石灰協会の会員の各メーカーにおいて商品開発が進められています。

石灰安定処理に用いる生石灰や石灰系固化材の添加量は、改良を施す地盤の土の性質、施工方法等を総合して考えて決定します。

軟弱土に石灰を混合・攪拌し、ならし固める工事の終了後は、石灰改良土の一軸圧縮試験を行います。石灰改良土の試験片の非圧縮性を仮定し、破壊ひずみに応じた断面積(=補正断面積。初期断面積と区別する)を使って一軸圧縮強度を算定します。充分な強度があると確認することで、地盤改良は完了します。

石灰による土質改良について説明する刊行物は先述の『石灰による地盤改良の手引き』の他、『石灰による地盤改良マニュアル』、『石灰安定処理工法:設計・施工の手引き』(日本石灰協会)()があり、施工者にとって必携の書です。

石灰を使う土質改良は長い歴史を有し、無機質で無害というメリットがあります。セメントと石灰の特徴を充分に把握し、適性に応じて使用します。

 

※『石灰による地盤改良マニュアル[第7版]』   日本石灰協会

 『石灰による地盤改良の手引き』       日本石灰協会

 『石灰安定処理工法:設計・施工の手引き』  日本石灰協会