安定処理の定義と安定処理工法の種類

2019年02月21日 路床

安定処理とは、地盤や路床の材料に充分な支持力や強度がない場合、セメントや石灰を加えることで粒子どうしの結合を強める工法を指します。土木インフラである道路や橋梁、マンション・一戸建て住宅などの建築工事を行う前に地盤を調査し、軟弱な地盤であれば安定処理を行います。軟弱な地盤にセメントや石灰をもとに作られた改良材を添加し攪拌する工法を「化学的安定処理」または「セメント・石灰系安定処理」と言います。

地盤改良は、改良材や機械等を使って、主に軟弱地盤を強化することをいいます。地盤改良と安定処理を同一視する人が多いですが、必ずしもイコールではありません。地盤改良は安定処理に加えて、排水や圧密、置き換え、締固めなど改良の工程全体を指すものです。「安定処理工法によって地盤改良を完了した」という用例からもわかるように、地盤改良の方がより広義に用いられています。

地盤改良には使用する機械や材料が異なる、様々な工法があります。化学的処理工法である固結工法は代表的なものです。そして、固結工法の中でもポピュラーなのがセメント・石灰系の改良材を改良対象土と混合する工法です。軟弱地盤が浅い場合に行う表層改良工法(浅層混合処理工法)、深い場合に行う柱状改良工法(深層混合処理工法)、その中間にあたる中層混合処理工法など、バリエーションも多く、施工実績において他の工法より優位に立っています。今後もその傾向は続くと考えられます。

 特にセメント系改良材を用いた地盤改良を行う場合、事前に配合試験を実施します。地盤を構成する土の質や地域特性が影響し、セメント系改良材が充分な効果を発揮しない事態を避けるためです。配合試験を行うことで地盤の特徴に応じた改良材を配合することができます。試験の方法としては一軸圧縮試験CBR試験があります。抜き取った円柱状の試料に側圧を加えない形で圧縮する一軸圧縮試験の結果判明する一軸圧縮強さは、改良土の強さを示す値で、固化材や添加量を決める際に参照されます。また、直径5cmのピストンを1分あたり1mmずつ貫入させ、2.5mm及び5.0mm貫入した状態での荷重を読み取るCBR試験では安定処理土のCBRが算出されます。この結果が地盤改良で行う処理の厚さや、固化材及び添加量の決定に利用されます。

土質試験と同時に、セメント及びセメント系固化材を原位置もしくはプラントにおいて、土と混合する改良土に対して六価クロムの溶出試験が必要となっています。その材料を使用・再利用する場合であっても、六価クロムの溶出試験を行ない、安全確認(六価クロム濃度 0.05mg/L 以下)が必要となります。

 近年では安全対策への関心の高まりを背景に、公共施設だけでなく、住宅を新築する方々や、賃貸マンションのオーナー・管理者からも安定処理に関するご質問・お問い合わせが増えています。株式会社セリタ建設としては、今後も正確な情報をお伝えし、安全で安心できる地盤改良を提供していきたいと思っております。