ため池の地盤改良における適正規模
2022年02月15日 ため池
ため池の地盤改良は、他の土木工事と同様、品質を保ちつつ適正規模で施工することが求められています。ため池の整備で耐震性能が重視されるようになった事情や、液状化に対する地盤改良の効果、適正規模で地盤改良する大切さを説明していきましょう。
ため池整備における耐震対策
地震が起きてため池が被災し、尊い人命が失われるケースも報告されています。このことから、ため池の整備では耐震性能が重視されるように変化していきました。農林水産省の指針においては、人命優先がはっきり示されています。ため池を供用する期間内に起こる確率は低いものの、断層近傍域において起きるような、極めて激しい地震動に対しても、限定された損傷にとどまるような、質の高い整備が求められることとなりました。
近辺に大きな河川がないために農業に必要な大量の水を手に入れることが困難な土地では、ため池が数多く点在しているのが見られます。一度の地震で、これら点在するため池が同時に被害を受けることを想定しておかなければなりません。ため池が決壊すると、下流の宅地・農地等に大きな損害をもたらします。それほどの大事に至らないとしても、その後の貯水が難しくなるといった事態が実際に起こっています。過去の調査報告では、被災したため池のうち、液状化が原因で決壊したものが少なからずあることが判明しており、ため池における液状化対策は急務といえるでしょう。
ため池の地盤改良で耐震補強
盛土直下の地盤は強度が弱く、液状化するリスクが高いといわれますが、セメント系改良材を用いて地盤改良することで補強できるとわかっています。また、盛土部のジオグリッドによる補強がクラックの起きるのを抑えられると判明しました。これは、地震で被災したため池の模型を用いて振動台実験を行った結果です。
なお、実験でモデルとされたため池は、被災後、セメント系改良材による地盤改良で復旧しました。農道など、他の構造物について同様の対策を施すことを検討する動きもあります。
品質維持しつつ適正規模で施工する
液状化対策として効果を発揮させるためには、品質の高い地盤改良を行うべきでしょう。質の低い地盤改良では、液状化対策として不十分になる可能性があります。地盤改良を含むすべての土木工事には、過剰な施工を極力避けつつ、高い品質を実現することが求められています。
過剰な施工を避けて適正規模で地盤改良するために、工事費用は尺度のひとつとなるでしょう。地盤改良においては、改良深さおよび改良材の配合量が費用に反映します。改良深さと改良材の配合量を正しく見極めて適正規模での地盤改良を行うべきです。
配合量の決定にあたっては室内配合試験が一般的です。より適正に配合量を決定するためには、施工段階において現地の諸条件を再評価し、設計を適宜変更するほうがよいとの意見もあります。いずれにせよ、現地の諸条件をよく吟味して地盤改良することは必須です。
ひと口にため池の地盤改良といっても、堤体そのもの・施工時バックホウを設置する堤体下部盛土・仮設道路・堤内に堆積したヘドロなど、改良の対象は多岐にわたることがあり、それぞれの土質や含水比・支持層の深さなどが異なることが予測されます。これらの点を無視していては、部分的には過剰な施工となり、他の箇所では強度が不足するといった事態を引き起こすでしょう。現場をよく知り検証する過程がなければ、適正な地盤改良は不可能です。
設計の時点の地盤調査では土質を詳しく把握することが難しいケースもあります。このため、施工中はできるだけ早い時点で設計時との相違点をつかみとって、工事が遅れることを最小限に抑えるといった対応が求められます。
液状化対策の確実な効果と、適正規模での施工を希望されるお客様は、豊富な実績で厚い信頼を得ているセリタ建設にぜひお問い合わせください。