n値の概要と計算手法

2022年10月29日 地質

木造2階建の構造物を検討する際に、n値を用いて柱頭柱脚の金物検討を行います。n値計算法とは、引張り耐力がその部分の必要耐力以上であることを確認する計算です。ここでは、n値計算の具多的な計算手法と簡易手法では対応できないケースを説明します。

n値の概要

撹拌状況

n値とは

建設業界におけるn値とは、①土質に関するn値と、②建築建屋に関するn値の2種類があります。土質に関するものは、地盤強度を示す値で地盤改良の要否の判断に用いられます。ここでは、②建築建屋に関するn値を説明します。建築建屋に関するn値とは、柱頭・柱脚の接合金物を選定するために用いられます。n値計算は、建築基準法には謳われてなく、効率的・経済的に検討するための計算根拠です。具体的には、引張り耐力がその部分の必要耐力以上であることを簡易計算で確かめて、柱頭・柱脚の接合金物を選定するときに用いる計算手法です。

 

構造計算と壁量計算の違い

木造2階建の建屋に関して設計を行うとき、最低限守らなければならない技術基準(仕様規定)があります。木造住宅は、耐力壁という地震に対抗する壁の量が強さのコントロールポイントになります。また、バランスが悪いと思わぬ倒壊に繋がるため、バランスチェックが重要です。更に、耐力壁が効果的に働くように金物を取り付ける計算も重要になります。以上より、壁量計算・バランスの検討・n値計算を検討します。ただし、簡易計算で出来る検討と、構造計算によって出来る検討は下記のように異なります。木造2階建の柱や梁の安全性等を検討する場合は構造計算を行う必要があることに留意が必要です。

簡易な方法

構造計算

柱頭柱脚に金物検討n値計算

n値計算に準拠

壁量壁量計算

建物の重量等により構造計算

梁の安全性×

計算により確認

柱の安全性×

計算により確認

基礎スパン表等

計算により確認

よく分かるn値の計算方法

木造建屋の設計に際してn値計算のフリーソフトは無料で検索すると見つけることが出来ます。木造在来工法でのn値計算、木造の金物補強を求めるExcelデータ、n値法・壁率比・金物選定・水平力精算など品確法の計算、木造住宅の壁量の計算、壁配置・バランスの検討、柱の仕口金物の選定、木造筋違い計算等のフリーソフトが、ダウンロード可能です。ここでは、n値計算の例として、告示第1460号第二号のただし書きから接合金物を求める方法を紹介します。

 

①平屋または、最上階の柱

n値=A1*B1-L

ここで、

A1:当該柱の左右の壁倍率差+補正値

B1:周辺部材の押さえ効果係数(出隅の場合=0.8, その他=0.5)

L:鉛直荷重による押さえ効果係数(出隅の場合=0.4, その他=0.6)

 

②2階建の1階部分の柱

n値=A1*B1+A2*B2-L

ここで、

A1:当該柱の左右の壁倍率差+補正値

B1:周辺部材の押さえ効果係数(出隅の場合=0.8, その他=0.5)

A2:当該柱の上の柱の左右壁倍率差+補正値

B2:2階の周辺部材の押さえ効果係数(出隅の場合=0.8, その他=0.5)

L:鉛直荷重による押さえ効果係数(出隅の場合=1.0, その他=1.6)