n値とは?

2021年06月21日 地質

n値とは?地盤の強度を示す数値で、地盤上に構造物を築くことが可能かどうか判断するための重要な指標です。n値が小さい土地は地盤改良を行う必要があります。この記事では、n値の算出方法やn値と地耐力の違い、n値から判断できる事柄を説明します。

n値を算出する方法として広く用いられているのがボーリング調査と呼ばれる標準貫入試験です。標準貫入試験とは、質量63.5kgのおもりを76cmの高さから自由落下させ、サンプラーを30cm貫入させるまでに何回打撃を要したか調べる試験です。この打撃回数がn値となります。打撃の回数が少ないほど強度の小さい地盤、回数が多いほど強度の大きい地盤と判断できます。ボーリング調査は地面を円柱状に掘り、深さ1mごとに標準貫入試験を実施します。これによって深度ごとのn値が把握できるのです。

ボーリング調査は精度の高いデータが得られますが、費用が高く調査に時間を要するという問題もあります。より簡便な方法がスウェーデン式サウンディング試験です。鉄の棒の先端にスクリューを付けて地表から挿入し、荷重をかけつつ回転貫入させます。貫入した深さや回転数によって地盤の強さを判断するのです。スウェーデン式サウンディング試験で算出されるのはn値ではなく換算n値です。換算n値はn値に相当する測定値として扱われています。

地盤の安定とかかわりの深い用語として地耐力というものもあります。n値や換算n値が地盤の強さを示す数値である一方、地耐力は地盤の耐力を示す数値です。1㎡あたり何kNまで耐えられるか示すのが地耐力です。固い地盤ほど地耐力は高く、岩盤の地耐力は1000kN/㎡とされています。1㎡あたり1tの力に耐えるということです。それに対して、例えば畑の柔らかい土は地耐力がゼロに近いといわれます。なお、地耐力はn値からおおよその値を算出することができます。

さて、n値がどの程度であれば強度に問題のない地盤といえるのでしょうか。目安として、n値が5以上の土地であれば戸建て住宅を築いて支障がないといわれています。ただし、盛り土で造成したばかりの土地や腐植土などの場合は、n値が5以上でも地盤改良が必要になる可能性があります。地盤改良するかしないかはn値だけでなく、土質や土地の成り立ちを考慮した上で判断すべきです。とはいうものの、n値が土地を利用する際に重要な指標であることは間違いないでしょう。