ダム浚渫における施工の流れ 技術と知見、慎重な選択が必要

2020年06月04日 ダム

治水、利水や発電など、私たちのくらしを支えるダムは、浚渫による土砂除去によって維持管理されています。この記事では、ダム浚渫工法や施工の流れ、施工時の課題について説明します。

ダムは構造上、土砂が堆積しやすいのですが、ダム堆積が進むと、ダムの貯水量が減るのみならず、河床低下や河岸浸食などの環境問題を引き起こします。そこで堆積した土砂堆砂)の対策が必要となります。ダムは建設時に堆砂のペースを予測した上で長期間使用できるよう設計されていますが、ダム堆砂除去を行うことでより長く使えるようになります。このため、国土交通省もダムのある自治体に対し堆砂対策をとるよう勧めています。

ダム堆砂除去の代表的な方法が、ダム湖内から堆砂を掘削してとり除く浚渫工事です。浚渫する堆砂の量は何百万㎥にも及ぶことがあるため、大型重機を多数搬入することになります。土木業界による施工事例が多いのは当然といえるでしょう。浚渫船や油圧ショベル、さらには掘削した土砂の輸送のための重ダンプなど、重機をフル稼働させて浚渫工事は進行します。

浚渫工事の一般的な流れを説明します。まず、重機を含む資機材搬入および作業ヤード造成を行い、浚渫船や油圧ショベルを用いて浚渫します。浚渫した土砂を土運船で陸地に輸送した上、仮置きするスペースまでダンプで運びます。仮置きされた土砂は別のダンプで海浜等の目的地に輸送します。

建築工事と比較するとシンプルな作業という印象を持たれるかもしれませんが、ダム浚渫に携わる業者には高い技術と知見、設備が求められます。

その理由として、現場において建設機械を搬入し作業ヤードを確保することが難しい点があげられます。ダムは谷間に建設されていることが多く、工事の大部分が斜面での作業となるためです。効率的な施工と作業員の安全確保のため、現場の状況を充分に検分することが欠かせません。作業にあたる技士の力量も問われます。浚渫船や重機を開発するメーカーの努力によって機材は日進月歩で進化していますが、技術者の能力に左右される領域はまだ大きいと言わざるをえません。

ダム堆積している土砂の種類が多岐にわたる点も浚渫作業の課題です。粘土、砂礫、ちりあくたなどの様々な種類の土砂が、深度の浅い箇所から深い箇所まで複雑に堆積しているのです。ダム浚渫工法にはバックホウ浚渫、グラブ浚渫、ポンプ浚渫などがありますが、水深や土砂の粒径によって適用する工法を慎重かつ柔軟に選択する必要があります。

このように大がかりで、しかも施工業者の慎重さと柔軟な対応力が求められる浚渫工事によって、ダムの維持管理は果たされているのです。