ため池とは農業用水を確保する池です
2021年11月16日 ため池
ため池の定義は農業用水を貯水・取水できるよう人工的に作られた池です。目的や機能において調整池とは異なります。重要な役割を果たしてきたため池について、決壊のリスクが明らかになっています。堤体改修などの維持管理でため池の安全を守りましょう。
ため池の機能と種類
ため池は堤を用いて川の水を取り入れたり雨水などを貯めたりしておく貯水機能に加え、耕作地へ水を送る取水機能があります。全国に約16万か所のため池がありますが、日本でため池が多い理由はやはり稲作が行われてきたことが背景にあるでしょう。降水量が少なく、流域の大きな河川が付近にない地域などにおいて多く築かれました。江戸時代以前に作られたため池がほとんどといわれます。
ため池の種類として谷池(山池)と皿池があります。谷池は山間部に多く見られます。谷の下流の側に堤を設け、川をせき止める形態をとっています。土を主な材料とする堰によって貯水するのです。皿池は平野部に多く存在します。低湿地やくぼんだ土地など水が貯まりやすいと思われる場所の周辺を堤で囲んで、底を掘り下げて築かれます。他のため池や川から引いた水を貯えています。
ため池と貯水池や調整池の違い
ため池と混同しやすい貯水池や調整池と、ため池との違いを説明します。
貯水池は川やダムの水を貯めておく施設全般を指し、農業用水を貯める池も含みます。つまり、ため池は貯水池の種類のひとつということです。ため池の他に、水力発電を行う池や、ダム・川などの水量を調節する機能の池も貯水池に含まれます。
調整池は集中豪雨などの原因で局地的な出水が起こった際に、河川の流下能力を超える可能性のある洪水を、河川に入る前に一時的に溜める機能を果たします。ため池とは目的および機能が違うということです。調整池は住宅地や団地の近くに作られるケースが多いといえます。
ため池の抱える問題
地震や集中豪雨によってため池が決壊し、深刻な被害をもたらした事例が報告されています。ため池の改修や埋め立てを検討しようにも、所有者がわからないケースも珍しくないようです。ため池の維持管理が行われなくなると堤の強度が下がる恐れがあり、決壊のリスクが高まります。地盤改良によってため池の堤体の強度を上げるのは災害を防ぐために有効です。豪雨でも崩れにくい堤体になることはもちろん、地震の際の液状化対策となります。ため池の堤体の地盤改良はセリタ建設にぜひご相談ください。
重要ポイントをQ&A形式で確認
Q1. ため池とは何ですか?どのような目的で作られていますか?
A1. ため池とは、農業用水を貯水・取水できるよう人工的に作られた池のことです。堤を用いて川の水を取り入れたり雨水を貯めたりする貯水機能と、耕作地へ水を送る取水機能の両方を備えています。
日本全国には約16万か所のため池が存在しており、これほど多くのため池が作られた背景には稲作文化があります。水稲栽培には安定した水の供給が不可欠ですが、降水量が少ない地域や流域の大きな河川が付近にない地域では、水の確保が課題となっていました。そのため、こうした地域を中心に多くのため池が築かれてきたのです。現存するため池のほとんどは江戸時代以前に作られたものといわれており、長い歴史の中で日本の農業を支える重要な役割を果たしてきました。
Q2. ため池にはどのような種類がありますか?それぞれの特徴を教えてください
A2. ため池は立地や構造の違いによって、主に谷池(山池)と皿池の2種類に分類されます。それぞれ地形の特性を活かした異なる構造を持っています。
谷池は山間部に多く見られるタイプです。谷の下流側に堤を設け、川をせき止める形態をとっています。土を主な材料とする堰によって貯水する構造で、自然の谷地形を利用することで効率的に水を貯めることができます。山からの湧水や雨水が谷に集まる特性を活かした設計といえます。
一方、皿池は平野部に多く存在するタイプです。低湿地やくぼんだ土地など、もともと水が貯まりやすいと思われる場所の周辺を堤で囲み、さらに底を掘り下げて築かれています。谷池のように自然の水流をせき止めるのではなく、他のため池や川から引いた水を人工的に貯える構造になっています。平野部の限られた地形条件の中で水を確保するための工夫が見られます。
Q3. ため池と貯水池の違いは何ですか?
A3. ため池と貯水池は混同されやすい用語ですが、両者の関係は包含関係にあります。貯水池は川やダムの水を貯めておく施設全般を指す広い概念であり、その中にため池も含まれています。つまり、ため池は貯水池の一種ということになります。
貯水池には様々な用途のものがあります。農業用水を貯めるため池のほかに、水力発電を行うための池や、ダムや川の水量を調節する機能を持つ池なども貯水池に含まれます。これらはいずれも水を貯めるという共通の機能を持っていますが、その目的や用途はそれぞれ異なります。
ため池は貯水池の中でも、特に農業用水の貯水と取水を目的とした施設を指します。稲作をはじめとする農業に必要な水を安定的に供給するという明確な役割を持っている点が特徴です。農業という具体的な用途に特化した貯水池がため池であると理解すると分かりやすいでしょう。
Q4. ため池と調整池はどう違いますか?
A4. ため池と調整池は、目的と機能が根本的に異なる施設です。混同されやすいですが、それぞれが果たす役割は明確に区別されます。
ため池は前述の通り、農業用水を貯水・取水するための施設です。日常的に農業に必要な水を貯めておき、耕作地に供給することが主な目的となっています。稲作などの農業活動を支えるために、安定した水源として機能しています。
一方、調整池は治水を目的とした施設です。集中豪雨などによって局地的な出水が起こった際に、河川の流下能力を超える可能性のある洪水を一時的に溜める機能を果たします。雨水が河川に一気に流れ込むことを防ぎ、下流域での洪水被害を軽減する役割があります。
このように、ため池が農業用水の確保という平常時の水利用を目的としているのに対し、調整池は豪雨時の洪水防止という防災機能を目的としています。そのため、調整池は住宅地や団地の近くに作られるケースが多く見られます。目的が異なるため、設置場所や構造、管理方法も異なる特性を持っています。
Q5. ため池にはどのような問題やリスクがありますか?
A5. 現在、ため池には深刻な安全上の問題が指摘されています。特に懸念されているのが、地震や集中豪雨によるため池の決壊リスクです。実際に決壊によって深刻な被害をもたらした事例が報告されており、早急な対策が求められています。
ため池の問題を複雑にしているのが、所有者や管理者が不明確なケースが珍しくないという点です。江戸時代以前に作られたため池が多いため、長い年月の間に所有関係が曖昧になってしまったものが少なくありません。所有者がわからないと、改修や埋め立てを検討しようにも意思決定が困難になり、必要な対策が遅れる原因となっています。
さらに、維持管理が適切に行われなくなったため池では、堤の強度が低下する恐れがあります。堤体の劣化や草木の繁茂、亀裂の発生などが放置されると、決壊のリスクが高まります。特に近年は気候変動による集中豪雨の頻発や大規模地震の発生により、老朽化したため池の危険性が一層高まっているといえます。これらの問題に対処するためには、定期的な点検と計画的な維持管理が不可欠です。
Q6. ため池の決壊を防ぐためにはどのような対策が有効ですか?
A6. ため池の決壊を防ぐためには、堤体の強度を維持・向上させる対策が重要です。特に有効とされているのが地盤改良による堤体の強化です。
地盤改良によってため池の堤体の強度を上げることは、災害を防ぐために非常に効果的な方法です。適切な地盤改良を行うことで、豪雨でも崩れにくい堤体を実現できます。集中豪雨による水圧の増大や、長時間の降雨による浸透水の影響に対する耐性が向上し、決壊のリスクを大幅に低減できます。
さらに、地盤改良は地震対策としても重要な意味を持ちます。地震の際に懸念される液状化現象に対する対策となるため、地震による堤体の崩壊を防ぐことができます。日本は地震大国であり、ため池の多くが古い時代に作られたものであることを考えると、耐震性の向上は喫緊の課題といえます。
堤体改修を含む適切な維持管理を実施することで、ため池の安全を守ることができます。定期的な点検によって劣化や異常を早期に発見し、必要に応じて補修や改良を行うことが、長期的な安全確保につながります。
Q7. ため池の維持管理が重要なのはなぜですか?
A7. ため池の維持管理は、決壊による災害を防ぎ、周辺地域の安全を守るために極めて重要です。維持管理が適切に行われなくなると、堤の強度が徐々に低下し、決壊のリスクが高まってしまいます。
ため池の堤体は土を主な材料として作られているものが多く、経年劣化や自然環境の影響を受けやすい構造です。定期的な点検や補修が行われないと、雨水の浸透による侵食、植物の根による破壊、亀裂の進行などが起こり、堤の強度が失われていきます。特に江戸時代以前に築造されたため池が多いことを考えると、老朽化は避けられない問題といえます。
また、近年の気候変動により、想定を超える集中豪雨が頻発しています。維持管理が不十分なため池では、こうした異常気象に対応できず、決壊に至る危険性が高まります。さらに地震の多い日本では、地震による液状化や堤体の崩壊も懸念されます。
このような理由から、堤体改修を含む計画的な維持管理を実施し、ため池の安全性を継続的に確保していくことが重要です。維持管理には専門的な知識と技術が必要となるため、専門業者への相談も有効な選択肢となります。
Q8. ため池が日本の農業に果たしてきた役割とは何ですか?
A8. ため池は長い歴史の中で、日本の農業、特に稲作を支える重要なインフラとして機能してきました。その役割は単なる水の貯蔵にとどまらず、地域農業の持続可能性を支える基盤となってきたといえます。
日本の農業は水稲栽培を中心に発展してきましたが、稲作には大量の水が必要です。しかし、日本列島は地形が急峻で河川の流路が短いため、降った雨がすぐに海に流れ出てしまう特性があります。また、降水量は地域によって大きく異なり、瀬戸内地方などでは比較的降水量が少ない地域もあります。こうした水の確保が困難な地域において、ため池は安定した農業用水の供給源として不可欠な存在でした。
全国に約16万か所も存在するため池の多くが江戸時代以前に作られたという事実は、先人たちが水の確保にいかに苦心し、工夫を重ねてきたかを物語っています。ため池によって水を貯え、必要な時に耕作地に供給する仕組みを構築することで、水不足になりがちな地域でも安定した農業生産が可能になりました。
現代においても、ため池は灌漑用水の供給という本来の機能を果たし続けており、地域農業を支える重要な役割を担っています。ただし、その維持管理と安全確保が新たな課題となっているのが現状です。




