ダム浚渫土の活用と土砂の供給

2020年11月02日 ダム

ダムの堆砂は、ダムの貯水容量を減らして治水機能に支障をきたすだけでなく、ダム周辺の環境問題を引き起こします。ダムの建設にあたってはダム堆砂シミュレーションがなされており、100年間の堆砂容量を見込んだ上で設計されていますが、豪雨などの影響で山の土砂が削り取られ、ダム湖内に大量に流入する事態が起きています。これが堆砂の進行に拍車をかけます。国土交通省が平成28年度末現在のダムの堆砂状況を報告していますし、令和2年度からは自治体の行うダム堆砂対策の事業を総務省が財政支援するなど、堆砂はダムを維持管理する上で見過ごせない問題として認識されています。このダム堆砂問題を解決するのが浚渫などの工事です。

このことは当社のブログ記事で繰り返しお伝えしてきました。

実は、浚渫によって堆砂を除去することには、ダムの維持管理の他、ダム下流の土砂環境を保護する意義もあります。河川は水と土砂によって構成されています。河川の環境において土砂は水と同様、欠かせない存在なのです。土砂環境を守るため、ダム堆積の土砂除去を行った後、その土砂を下流の河川に供給する仕組みが重要です。ダムを浚渫し、浚渫土をダム下流の河道に仮置きして、ダムが出水する際に流下させることが現在、試みられています。同様に土砂を下流の河川に供給するための仕組みとして、ダムに土砂吐きゲートやバイパストンネルを設置したり、下流フラッシュしたりする取り組みも進んでいますが、設備を増やすことなくほとんどのダムに適応できる堆砂除去の手段として、浚渫の重要性は増しています。浚渫土はコンクリート用の砂利等に利用される他、様々な再利用の方法が検討され一部は実践されています。

ダムは谷間に建設されていることが多く、大型重機を搬入したり作業ヤードを確保したりすることが難しい側面があります。また、ダム湖内には様々な性質の土砂があらゆる深度において堆積しているため、それらの情報を把握した上でダム浚渫工法を選択しなければなりません。地盤改良の実績豊富なセリタ建設は、地盤を構成する土砂の性質についての知識とそれに対応するノウハウを蓄積しています。ため池の浚渫においても軟弱地盤を改良しつつ浚渫し、浚渫の完了後には堤体の改修を行うなど、当社ならではの知見を活かした工事を実施してきました。ダム浚渫工事もぜひセリタ建設にお任せください。