ダムの堆砂問題と浚渫による堆砂対策

2020年06月06日 ダム

堆砂の読み方は「たいさ」または「たいしゃ」です。ダム等の貯水池に上流から流れ込んで、ダム貯水池の底に堆積した土砂を指します。ダムが本来果たすべき機能を守るために、ダムの堆砂問題を放置するわけにいきません。この記事では、ダムの堆砂が引き起こす問題と堆砂対策について説明します。

ダムの堆砂量は地域や水系によって大きな差があり、中にはダム堆砂率50%を超えるものもあります。ダムの堆砂が進むと、様々な影響が出ます。堆砂の進行と共にダムの貯水量が減り、ダムの治水機能(洪水調節機能)が充分に発揮できない恐れがある他、取水障害も起こり得ます。堆砂によってダムの寿命が縮まる可能性すらあるのです。

ダム周辺や河川への影響も深刻です。ダム湖末端での河床上昇や、貯水位低下時の堆砂移動によるダム湖内の濁水化が懸念されます。下流河床の低下や海岸侵食等の発生の恐れもあるのです。

治水のために建設されたダムには、河川などから流れ込む堆砂に対して許容量が設定されていますが、この許容量を超えてダムの堆砂が進んでいるなど、堆砂に関するニュースがたびたび報じられてきました。

201410月には会計検査院が、ダム湖内の堆砂のために貯水量が減り、期待されている治水機能を発揮できない可能性のあるダムが、全国で100を超えることを報告しました。堆砂を放置すると、異常気象により多発している豪雨に対応できないため、会計検査院は国土交通省に改善を求めました。

さらに201912月、道府県の管理下にある治水目的のダムの約10%にあたる全国42のダムで許容量を超えて堆砂が進行し、治水機能が低下している可能性を国土交通省が指摘しています。これを受けて総務省は、ダムの堆砂を除去する事業を行う自治体に対し、2020年度から補助を行うことを発表しました。治水目的のダムだけでなく、河川や砂防ダムの堆砂対策も補助の対象になりました。

ニュースで報道されたダム問題は、ダムが想定されたとおりの治水機能を果たすためには、平時からダム堆積の土砂除去を行っておくことが、防災対策として非常に重要ということを明らかにしています。

ダム堆砂の対策としては昔から浚渫が行われていました。また、ダムに排砂ゲート(土砂吐きゲート)を備えつける動きもあります。治水専用のダムでは、平時には貯水することなく水門を開放し、増水時のみ洪水をためて調節する、通称「穴あきダム」も登場しています。他にも植林によって山腹からの土砂流出の抑制を図る・ダム堆砂を直接採取して下流部の河原に運び、洪水時に自然流下させることで海岸侵食を防止するなどの試みが行われています。

ダム堆砂に適切に対応し、ダムを維持管理することで、今あるダムを長く使うことが求められています。