鋼管杭工法のメリット及びデメリット

2019年01月18日 地盤改良

鋼管杭工法は、鋼製杭を垂直に打ち込むことで地盤上の構造物を支えます。軟弱地盤の強度を高め、天災や地震などが起きた際に構造物倒壊を防ぐのに欠かせない地盤改良。地盤改良工法の種類は数多いですが、鋼管杭工法について説明します。

〇鋼管杭工法とは

地中に鋼製の杭を垂直に打ち込むことで地盤上の構造物を支えます。よく用いられる地盤改良工法のひとつです。他のポピュラーな工法として表層改良工法(浅層混合処理工法)や柱状改良工法(深層混合処理工法)がありますが、鋼管杭工法は比較的軟弱地盤の深い土地に向いています。

地盤改良における鋼管杭工法のメリット

表層改良工法及び柱状改良工法と比較し、鋼管杭工法には次のようなメリットがあります。

・柱状改良工法より小型での重機での施工が可能

・短期間で工事が完了する

・重量のある構造物でもしっかり支える

・地盤の強度が高い

・土地の資産価値が低下しにくい

・六価クロム発生の心配がない

〇地盤改良における鋼管杭工法のデメリット

デメリットは以下のとおりです。費用については、あくまで目安ですが深度5〜6mの施工で110140万円ほどかかります。

・費用が高くなりやすい

・施工時の騒音や振動が発生しやすい

・支持層がない土地では施工できない

〇鋼管杭工法の種類

地盤改良で用いられる鋼管杭のうち、古くから用いられているものを紹介します。ここで紹介する他にも、民間企業が開発した鋼管杭工法が数多く存在します。

・小口径鋼管杭

口径が101.6mm267.4mmの鋼管杭は、地盤改良でよく用いられています。地震が起きた際、液状化の影響を受けにくいというメリットがあります。また、後述の既成コンクリート杭などと比較すると費用が安い傾向があります。

・既製コンクリート杭

専用の施工機で既製コンクリート杭を地中に圧入することで構造物を支持させる工法です。従来は大規模な構造物向けの工法でしたが、近年は戸建て住宅などでも用いられるようになってきました。

・木杭

木杭の使用開始は紀元前にさかのぼります。杭が地下水位より深く埋められている場合、腐る心配はありません。環境に優しい工法として再評価されています。費用が安い点も特徴です。

〇鋼管杭工法で用いる鋼管杭の長さ

鋼管杭の長さは先端の支持基盤で決定します。先端の支持基盤が15以上のN値を示す強固な地盤(支持層)で、かつ、その地盤が2.0m以上続いていることが鋼管杭工法を用いる条件です。N値とは地盤の強度を示す基準で、N5以上であれば一般的な戸建住宅の建設が可能といわれているので(実際は他の要因も含めて判断する必要があります)、N15という数値の高さはおわかりいただけると思います。

〇地盤改良後の鋼管杭の撤去

地盤改良を行ったものの、その後更地に戻す必要が生じることがあります。その場合、鋼管杭を撤去することになります。地面を掘り、地中に埋めたときと逆の手順で鋼管を垂直に引き抜き、搬出します。一度施工してしまうともとに戻すことが難しい柱状改良工法と比べると、鋼管杭工法は原状回復しやすいといえます。

 

地盤改良の鋼管杭工法について説明しました。鋼管杭工法は地盤の強度を高める効果が大きく、重量のある構造物でも戸建て住宅でも用いられる非常にポピュラーな工法です。様々なメリットがある一方で、施工時は騒音や振動が発生しやすいため、施工前に周知し了承を得ることが欠かせません。