河床の地盤改良で留意すべきこと

2021年01月06日 河床

河床の地盤改良は、河川改修工事の際や、橋脚・河川堤防・堤防護岸等の工事を行う箇所が軟弱地盤だった際に行う、非常に大切な工事です。もし河床を軟弱地盤のまま放置すれば、堤防も橋梁も安全を確保できません。この記事では、河床の地盤改良で留意すべき点や地盤改良工法の種類について説明します。

河床での地盤改良は水質汚濁が起きないような工法を選択するなど、環境への配慮が強く求められます。地盤改良による環境条件の変化はpH計測などの方法で試験します。さらに河床の地盤改良は低コストかつ短期間での施工が求められます。コストを抑えつつも地盤改良範囲はしっかり見極め、改良が必要な箇所すべてに措置しなければなりません。期間については、地盤改良後の養生期間も考慮した上で計画を立てる必要があります。

河床の地盤改良というと通常の地盤改良とまったく別の工法が用いられると思われるかもしれませんが、たとえばバックホウによる混合・撹拌しての浅層地盤改良や柱状改良など、通常の地盤改良と同じ工法もよく用いられています。河川の築堤盛土に関しては、漏水などのリスクから避けるために、浅層地盤改良の場合はバックホウで混合・攪拌した後にローラー等で転圧する流れになります。浅層地盤改良や柱状改良などのよく用いられる工法については、改良厚さや支持力を算出できる計算ソフトが各社で作られています。大がかりで難易度の高い工事である河床の地盤改良においては、通常の地盤改良工事にも増して、施工前の試験と綿密な施工計画が重要な意味を持ちます。

浅層地盤改良や柱状改良の他に河川工事で用いられる地盤改良工法を紹介します。高圧噴射攪拌工法は水中での施工が可能で、河床の地盤改良への適性が高いと評価されている工法です。ロッドの先端から地盤改良材を高圧ジェットで噴射し、噴射の衝撃によって地盤を切り崩します。切り崩した箇所に地盤改良材を注入するか地盤改良材を土と混合・攪拌することで、円柱状の改良体を造成します。幅広い土質に適用でき、改良径が大きいため経済的、さらには仕上がりが均一で強度も高いなどの利点があるといわれています。

地盤改良工法や地盤改良材は、地盤の性質や軟弱地盤の深さ、周辺環境、求められる強度や効率、コストなど総合的に判断した上で決定します。正しい選択が社会の安全につながるのです。