河川における浚渫工事

2022年10月04日 河床

河川の浚渫工事をする場合、日本の地形は、流域面積が小さく河川長が短いので注意が必要です。そのため、水量の変化が激しく洪水をおこしやすいデメリットがあります。そこで、洪水により河床が上昇して水深が浅くなると必要水深が確保できず、航路による物資運搬が困難になるため、定期的に浚渫工事を行い、海底の土砂をすくい取り水深を確保する必要があるのです。

河川の浚渫工事

固化材散布状況

浚渫工事とは

河道において、海底の土砂をすくい取り水深を確保することで、船が海底と接触するリスクを無くして安全・安心な航路を確保する工事です。土砂や岩石を掘り取ることを意味する掘削とは異なり、浚渫では堆積した細粒の土砂や泥土をすくい取る作業です。

 

なぜ浚渫工事が必要なのか?

浚渫の目的は大きく分けると①防災の観点、②生態系の観点、③航路確保の観点の3つあります。

①日本の地形は、山地から海までの距離が短いため流域面積が小さく河川長が短いです。そのため、水量の変化が激しく洪水をおこしやすい特徴があります。そこで、洪水や高潮に伴う河川氾濫による災害を防止するため、川底を浚渫(掘削)して河川の流下能力を高めて、増水した時の川の水位を低下させることを目的にしています。

②河川の水質改善を目的にしています。川底に汚泥(ヘドロ)がたまると、貧酸素状態になるため、水中の生態系に悪影響を及ぼします。そこで、汚泥(ヘドロ)を取り除き、水質を改善します。

③物資の運搬を航路で行う場合、運航船に応じて必要水深が異なります。そのため、船が海底と接触するリスクを無くして安全・安心な航路を確保することを目的にしています。

 

浚渫工事の方法

浚渫工事には、”ポンプ浚渫”と”グラブ浚渫”の2種類の方法があります。ポンプ浚渫とは、先端にカッターが付いている吸水管を用いて海底の土砂を切り崩しながら吸い上げて海底を掘り下げる大規模工事です。グラブ浚渫とは、グラブバケットと呼ばれる土砂を挟み取る機械を海底におろして、海底の土砂をすくい取ります。

 

各工法の特徴(メリットとデメリット)

・ポンプ浚渫

大型の設備が必要になるため、素早く広範囲の土砂を除去できる特徴があります。しかし、その分のコスト負担が大きいデメリットがあります。

・グラブ浚渫

グラブバケットは、2~5m3が一般的な大きさで、20m3程度が最大である。ポンプ浚渫と比較すると、小回りが利くため、壁岸などの構造物近接部や、橋梁部での小規模範囲での施工に向いています。また、グラブバケットによる土砂のすく取りのため、ポンプ浚渫では吸い取れない固い地盤にも適用可能なメリットがあります。