浚渫と河道掘削の違い

2022年10月15日 河床

 浚渫とは、水中にある土砂をすくい取り必要水深を確保する工事です。河道掘削とは、水中以外の川岸を含む範囲の土砂や砂州を撤去することで河道断面を拡幅させ、河川の流下能力を増加させる工事です。浚渫工事は、ポンプ浚渫、グラブ浚渫、バックホウ浚渫等の工法があり、河道掘削では、バックホウによる河道掘削が一般的である。両工法においても水質や近隣の生態系にも配慮することが重要です。

浚渫と河道掘削

整形状況

  1. 浚渫と河道掘削

浚渫工事及び河道掘削とは、両工事ともに、河道断面を拡幅させて河川の流下能力を増加させる工事です。河道内は、水中や周辺の多様な生物の生息環境であることから、河道改修時の自然環境調査が欠かせません。加えて、施工性、経済性を考慮して効率性の高い工法で工事を進める必要があります。上流からの土砂の供給が予想される箇所では、掘削箇所の再堆積により、整備効果が低下するリスクが高くなります。そのため、河川環境への影響、再堆積の発生リスクを低減させることに留意して法線、断面、および掘削工法を検討する必要があります。また、砂州を掘削することで河川の流下能力を増加させる場合は、必要な河道断面を設定するだけに留まらず、河道の変遷から砂州が形成された要因を分析し、再堆積を抑制するための抜本的な対策案を検討することが望ましいです。さらに、護岸や橋梁等の横断工作物の設置状況を調査し、既設構造物の安定性に十分に配慮した上で計画します。

 

  1. 浚渫工法

浚渫とは、水面以下にある土砂や汚泥等をすくい取ることであり、浚渫船による施工が一般的です。浚渫船による施工工法は、ポンプ浚渫、グラブ浚渫、バックホウ浚渫があり、浚渫土量、面積・範囲、水深、土質性状、土捨場・処分場、動力源等の条件を考慮して工法選定を行います。ポンプ浚渫とは、先端にカッターが付いている吸水管を用いて海底の土砂を切り崩しながら吸い上げて海底を掘り下げる大規模工事です。グラブ浚渫とは、グラブバケットと呼ばれる土砂を挟み取る機械を海底におろして、海底の土砂をすくい取ります。バックホウ浚渫とは、船に備え付のバックホウで海底をすくい取ります。

 

  1. 浚渫工事の手順

①土捨場所の選定

②土砂運搬経路の選定

③土質性状調査

④水深調査

⑤施工工法選定

 

  1. 河道掘削工法

河道掘削は、一般的にバックホウによる掘削工法が一般的です。施工方法には、筋掘り・スライス掘削・壺堀り等があります。筋掘りとは、澪筋に近い箇所から順次筋状に掘削することで治水効果の早期発現を期待します。しかし、掘削した箇所に土砂が再堆積しやすいことに留意する必要があります。スライス掘削とは、地山の頂部から順次面的に掘削する施工方法で、再堆積した土砂を次回施工時に掘削できる特徴があります。壷掘りとは、河川水を締切り、水際の地山を残して掘削する工法で施工中における濁水の流出を極力抑制させる特徴があります。しかし、護岸を設置しない区間では、1:3 より緩やかな勾配(流木等の堆積にも配慮)を基本とし、掘削の法肩は堤防防護ラインに影響させないようにする必要があります。河道掘削では、下流の流下能力と著しく不均衡となる河道掘削は避け、流下能力の増加に効果が大きい場合、周辺の動植物へ与える影響も大きいため、陸上では、表土を元に戻す、水中では河床のレキを残す等の配慮を行うことに留意する必要があります。