ICT活用工事(地盤改良工)の実施 

2022年07月19日 ICT

ICT活用工事(地盤改良工)実施要領」(国土交通省)をもとに、ICT活用工事の概要や工事の流れ、従来の施工のあり方と比較した際の利点などを説明します。ICT活用によって地盤改良の効率化と品質確保が実現できることをおわかりいただけると思います。

ICTの活用

ICTの活用

ICT活用工事(地盤改良工)とは

ICT活用工事とは、施工プロセスのあらゆる段階において、ICT施工技術を全体にわたって活用する工事を指します。以下の①から⑤すべてにおいてICT施工技術を活用するものがICT活用工事に該当します。

  1. 3次元施工測量
  2. 3次元設計データ作成
  3. ICT建設機械による施工
  4. 3次元出来形管理等の施工管理
  5. 3次元データの納品

それぞれの項目について概要を説明します。

①3次元起工測量

起工測量において3次元測量データを得るため、ドローン(無人航空機)や地上型レーザースキャナーなど定められた8種の測量機械から選択して測量を実施します。

② 3次元設計データ作成

3次元出来形管理を行う目的で、3次元設計データを作成します。①の測量データおよび発注者が貸与する発注図データを用いることが条件です。

ICT建設機械による施工

3次元設計データを用い、3次元MG機能を持つ地盤改良機または3次元MCまたは3次元MG建設機械のうち実施する作業に適した方を選んで施工します。

なお、MCは「マシンコントロール」、MGは「マシンガイダンス」の略称です。

④ 3次元出来形管理等の施工管理

工事の施工管理においては、施工履歴データを用いた出来形管理を行います。

⑤ 3次元データの納品

3次元施工管理データを電子納品します。

 

従来の施工のあり方からの変化

ICT活用が進む以前の施工では、起工測量、設計図作成と設計図からの施工数量の算出などすべてアナログでの作業でした。現場においては設計図を見ながら施工範囲や区割りなどを測量し目印をたてるなどの作業が必要でした。施工も目視が頼りで、目印に合わせて施工を進め、目印が消えたらたてなおすなど二度手間も発生しました。帳票作成や書類検査にも人手が必要で、ICT活用工事では省略できる実測を行わなければならず、巻き尺による実測を行っていました。

全体的に目視や手作業の比重が非常に大きく、従事者の経験や勘に頼らざるをえなかったといえます。ICT活用工事と比較すると効率が悪いだけでなく、品質の均一化を図るのが難しいという問題がありました。

労働力の減少という課題に直面する一方、品質管理が厳しく問われる現代社会において、これから地盤改良工におけるICT活用の推進はいっそう進んでいくことでしょう。

 

重要ポイントをQ&A形式で確認

Q1. ICT活用工事(地盤改良工)とはどのような工事ですか?

A1. ICT活用工事とは、施工プロセスのあらゆる段階においてICT施工技術を全体にわたって活用する工事のことです。国土交通省が定める「ICT活用工事(地盤改良工)実施要領」に基づき、3次元起工測量・3次元設計データ作成・ICT建設機械による施工・3次元出来形管理・3次元データの電子納品という5つの工程すべてにICT技術を導入することが条件となります。これにより、地盤改良工事の効率化と品質確保の両立が可能となります。部分的なデジタル化ではなく、工事全体をICTで一貫管理することがICT活用工事の本質です。

 

Q2. ICT活用工事に該当するための5つの要件とは何ですか?

A2. ICT活用工事として認められるには、定められた5つの工程すべてでICT技術を活用することが必要です。第一に、ドローンや地上型レーザースキャナーなど8種の測量機械から選んで行う「3次元起工測量」があります。第二に、測量データと発注図データを用いた「3次元設計データ作成」、第三に3次元MGまたはMC機能を持つ地盤改良機による「ICT建設機械での施工」、第四に施工履歴データを用いた「3次元出来形管理」、第五に「3次元施工管理データの電子納品」です。この5要件をすべて満たすことで、はじめてICT活用工事として認定されます。

 

Q3. 3次元起工測量ではどのような機器が使われますか?

A3. 3次元起工測量とは、工事着手前に現地の地形や形状を3次元データとして取得するための測量であり、その後の設計データ作成や施工管理の精度を左右する重要な工程です。使用できる測量機器は国土交通省により8種が定められており、代表的なものとしてドローン(無人航空機)と地上型レーザースキャナーがあります。従来の測量では作業員が現地に出向き、巻き尺や測量機器を用いた手作業による計測が中心でしたが、ドローン測量により広範囲を短時間かつ高精度で計測できます。現場の状況に応じて最適な機器を選択することが求められます。

 

Q4. ICT建設機械のMGとMCはどのような機能ですか?

A4. ICT建設機械に搭載されるMGとMCは、3次元設計データを活用して施工精度を高めるための機能です。MG(マシンガイダンス)は、施工中に現在の機械位置と設計データとのズレをオペレーターにリアルタイムで表示・案内し、正確な施工をサポートする機能です。一方、MC(マシンコントロール)は、設計データに基づいて機械の動作を自動制御することで、オペレーターの操作負担を軽減しながら高精度な施工を実現します。地盤改良機にこれらの機能を組み合わせることで、施工位置や深度などの施工状況を3次元で管理でき、品質の均一化に大きく貢献します。

 

Q5. 従来の地盤改良施工と比べてICT活用工事のメリットは何ですか?

A5. ICT活用工事の最大のメリットは、従来の目視や手作業中心の施工と比べて、効率化と品質均一化を同時に実現できる点です。従来施工では、施工範囲の測量や目印の設置・管理、巻き尺による実測、帳票の手作業作成など、多くの工程で人手と時間を要していました。またオペレーターの経験や勘に品質が左右されやすく、均一な仕上がりを確保するのが困難でした。ICT活用工事では3次元データによる自動管理・記録が可能となり、こうした二度手間や属人的なバラつきを解消できます。省力化と品質向上の両立が、ICT活用工事の大きな強みです。

 

Q6. ICT活用工事で施工品質が均一化できる理由は何ですか?

A6. ICT活用工事で施工品質の均一化が実現できる理由は、施工位置や深度などの施工状況をリアルタイムで3次元データとして記録・管理できるためです。従来の施工では、目視と手作業が中心だったため、担当者の経験や技術力によって仕上がりに差が生じやすいという課題がありました。ICT建設機械のMG・MC機能を活用することで、設計データと実際の施工状況の差異をリアルタイムで把握し、即座に修正対応が可能となります。さらに施工履歴データが自動で蓄積されるため、出来形管理や検査の精度も向上し、設計通りの均一な品質確保が継続的に実現できます。

 

Q7. 地盤改良工事でICT活用がこれからさらに重要になる理由は何ですか?

A7. 地盤改良工事におけるICT活用の重要性が高まっている背景には、建設業界が直面する労働力不足と品質管理の厳格化という2つの課題があります。少子高齢化による現場作業員の減少が進む中、限られた人員でも高品質な施工を維持するためには、デジタル技術による省力化と自動管理が不可欠です。また、社会インフラへの要求水準が高まる現代では、施工記録の電子化・可視化による透明性の確保も求められています。ICT活用工事は、こうした現場課題への有効な解決策として国土交通省も推進しており、今後さらに導入が加速していくことが見込まれています。