貯水槽を設置する前に地盤改良を

2021年09月30日 地質

貯水槽を設置する際に地盤改良を行うことの大切さを説明します。強度が充分にある地盤の場合、地盤改良は必要ないのですが、軟弱地盤であれば不同沈下が起きるリスクが高まります。見た目で判断せず、地盤調査を行って地盤の強度を確かめることが大切です。

貯水槽下の地盤で不同沈下が起こるリスク

マンションやビル・工場などにおける給水に大きな役割を果たしている貯水槽。災害時の備えとしても存在意義があります。貯水槽が役割を果たし続けるためには、強度が高く不同沈下の起こりにくい地盤上に築かれていることが条件です。

貯水槽の設計は水平な地盤が想定されています。不同沈下が起こると、想定外の力が貯水槽に加わり続けます。そして不同沈下を放置することで、適切な勾配がとれないために排水がスムーズにいかない・ひび割れにより水漏れが起こるなどの問題が出てくるのです。

ひび割れや水漏れは、貯水槽の破裂につながる深刻な事態です。ひび割れによって貯水槽の強度の均整が壊れ、破損しやすくなるのです。地震などの災害時に貯水槽が破裂するリスクも高まります。また、ひび割れからの水漏れが続くと、当然水の溜まりは悪くなりますし、割れ目から虫やごみが入って衛生状態も損なわれます。

強度の小さい地盤に貯水槽を設置することはこれらのリスクをはらむことになるのです。

不同沈下が起きた場合の対処法

実際に貯水槽が傾いてしまった場合の対処法としては、貯水槽を解体して新設する・沈下修正工事を行うといったものがあります。

貯水槽を解体して新設する場合、断水が必要になる可能性があり、貯水槽を利用しているマンションやビル・工場等での生活や業務に大きな支障が出ます。仮設の貯水槽を設置して既存の貯水槽を解体・撤去し、新しい貯水槽を設置してから仮設の貯水槽を解体・撤去するという流れです。スペースや予算の関係で仮設工事ができない場合は、工事終了まで断水が続きます。

沈下修正工事費用は、貯水槽を解体して新設する場合に比べると安価で済み、工事期間も短い傾向があります。断水の必要がない点も安心です。とはいえ、工事には数十万円が必要となるのが一般的です。

給水を安定して行うために

貯水槽の安全を守るためには、「不同沈下が起こったときに対処すればいい」と考えるのではなく、そもそも不同沈下を起こさないための対策をとっておくことが必要です。それには設置前に地盤を調査し、貯水槽を支えるのに充分な強度があるか検証することが欠かせません。強度が充分でないと判断されたら地盤改良を行いましょう。設置前の対策が安定した給水を守るのです。