ため池の構造と設備ごとの名称

2021年12月22日 ため池

ため池の構造と設備ごとの名称を紹介します。特に堤体について構造および改修型式を説明し、老朽化した堤体にどんなリスクがあるのかを説明していきます。ため池の安全な利用のために、日ごろから維持管理を行うと共に必要に応じた改修を行いましょう。

ため池の構造と設備

ため池とは

ため池とは農業用水の確保を目的として築かれた池のことです。天然の池沼を改築し、ため池として活用している事例も見られます。ため池には貯水機能と取水機能があります。全国に約16万か所存在するとされ、特に西日本に多く分布します。河川に恵まれない地域や取水が安定しない地域で多く築かれたようです。

私たちの暮らしを支えるため池の中には、老朽化して改修が必要なものが少なからずあります。使用されなくなったため池は埋め立てを検討することも必要でしょう。現役のため池については、適切な維持管理と必要に応じた改修が求められます。

ため池の構造

ため池の仕組みを説明します。ため池は地域ごとに様々な作り方をされているので種類が多く、以下で挙げる設備のすべてを備えているため池ばかりではないことを申し添えます。

堤体:ため池の堤体とは堤防のことです。

張ブロック・遮水シート:ため池堤内の法面を波浪などによる浸食から守ります。

洪水吐き:ため池堤内の余分な水を流すことで洪水を防ぐ機能があります。

取水設備:ため池には斜樋(しゃひ)または立樋(たてひ)という取水設備があり、管に開いた取水孔から水を取り入れます。

底樋(そこひ):ため池の外に通じる管で、水抜きなどに利用します。

腰石積:堤体にしみとおった水を早い段階で排出するための設備です。

緊急放流ゲート:集中豪雨などの際にため池の水位を下げます。

土砂吐きゲート:ため池の土砂を底樋から排出させる構造となっています。

ため池堤体の改修型式

老朽化に伴い発生する堤体のクラックや漏水は、ため池決壊のリスクを招く深刻な問題です。このようなため池においては堤体を改修する必要があります。改修型式には、ため池堤体の断面の全体で遮水する均一型や、遮水性ゾーンと透水性ゾーンとで土質材料を使い分けるゾーン型、遮水シート等を用いる表面遮水型、ため池堤体の亀裂に注入材料をつぎこむグラウト工法によるグラウト型があります。ため池堤体の構造にはさまざまなものがあることが改修型式から推測いただけると思います。

堤体改修の型式を問わず、堤体全体の強度を上げる地盤改良は、ため池の耐震対策・液状化対策として有効です。ため池改修を検討されている方は、ぜひお問い合わせください。