ため池の多面的機能が見直されている
2022年01月21日 ため池
ため池の多面的機能が最近、見直されています。まわりの美しい景観や豊かな生態系が地域資源として認識されるようになったからです。ため池を保全する活動をきっかけに地域の交流が活発になるケースもあるようです。正しく維持管理して地域資源を守りましょう。
ため池は本来、農業施設
ため池とは、雨水や河川の水が不足する土地で多く作られた、水を貯めて取り入れることを目的とした池です。日本国内に約16万か所存在するといわれ、200年以上前に作られたものがたくさんあります。ため池が多い理由は、かつての日本で農業人口が多かったことがあげられるでしょう。時代の移り変わりと共に第2次産業や第3次産業に従事する人が増えたものの、ため池は今でも地域の大切な水源といえます。
ため池には多面的機能がある
最近では、農業施設という本来の性格以外の部分が見直されつつあります。以下に例示するとおり、ため池には多面的な機能があるのです。
・洪水を防ぐ
豪雨の時、ため池に水が一時的に貯まることで下流域における洪水を予防します。
・土砂の流出を防ぐ
上流から大量の土砂が流れ出ることを防ぎ、下流の宅地および農地が損害を受けることを食い止めます。
・防災対策
防火用水や、大規模災害が起こった場合の生活用水としてため池は利活用されます。
・生態系を保つ
ため池のまわりでは多様な生態系がはぐくまれています。
・親水空間の形成
地域の住民に、水と親しむ空間を提供することで、健康づくりやレクリエーション・学習活動などに貢献しています。
・地域の文化継承
ため池を擁する土地は、水を得るための苦労談が語り伝えられます。また、ため池にまつわる祭や、雨乞いなどの伝統行事が継承される土地もあります。
・その他住民の交流
地域の住民が協力してため池を維持管理することで交流が保たれています。
農林水産省の「多面的機能支払交付金」
農林水産省の「多面的機能支払交付金」は、地域共同で⾏われる、多⾯的機能を⽀える活動および地域資源の質的向上を企図する活動を支援しています。ため池の軽微な補修や、景観形成の活動、⽣態系を保つ活動も対象です。
交付金を受けたことをきっかけに、「ため池の管理に参加する層が広がった」・「景観整備が地域活性化につながった」など報告されています。台風のシーズン前にため池の水位を下げることで水害防止につながったケースもあるようです。
セリタ建設では、ため池の浚渫や地盤改良で保全と維持管理をお手伝いします。お気軽にご相談ください。