改良材の計算と地盤改良の成否の関係
2021年06月29日 地質
改良材の計算は地盤改良において強度の発現に関わる重要な過程です。この記事では、セメントによる地盤改良(セメント改良)と石灰による地盤改良(石灰改良)を比較説明すると共に、セメント量や水の量を計算するのに役立つツールを紹介します。
地盤改良においてセメントは最もよく用いられる改良材といってよいでしょう。セメント改良は、地盤の強度を恒久的に高めたいときに行います。道路や建物など重要な構造物の基礎としてはセメントを用いることが多いといえるでしょう。様々な土質に対応できる点もセメント改良の強みです。
セメント改良で改良材の添加量を計算する際、最小添加量はどの程度なのでしょうか。実は、セメント改良における最小添加量についての規定はありません。添加量を決定するには、改良を行う土地の土質や性状、改良材のコンディションなどを総合的に判断しなければならないので、最小添加量を一概に規定することは難しいことが背景にあります。セメント協会が『セメント系固化材による地盤改良マニュアル』(※)においてガイドライン的に示しているところによると、浅層改良で、かつ粉体で添加する場合の最小添加量は50kg/㎥程度です。
石灰改良の場合、セメント改良と比べて一時的な固化を目的として施工されることが多いといえます。浚渫工事のために河床をいったん固化する場合などがこれに該当します。長期間強度を高める際に石灰を用いるケースもあり、一時的な固化に用途が限定されるわけではありません。セメントとの相性が良くない土質や、周辺環境に特別の配慮が求められる場合に、セメントに代えて石灰を用いることがあります。
石灰改良の最小添加量についても、セメント改良同様に規定はありません。日本石灰協会が『石灰による地盤改良マニュアル』(※)で示しているところによると、最小添加量の目安を30kg/㎥程度です。
セメント改良においては、水とセメントの比率が重要です。セメントの種類ごとに水セメント比が規定されていることからわかるように、水セメント比は強度の発現に大きく関わってくるのです。改良土量(延長×幅×深さ)と水セメント比、配合量、洗い水から地盤改良工事で使用する水の量を計算することができます。当社の公式ホームページにおいて自動計算ツールを公開しているので、ぜひご利用ください。
※「セメント系固化材による地盤改良マニュアル[第4版]」セメント協会(H24.10)
※「石灰による地盤改良マニュアル[第7版]」日本石灰協会
重要ポイントをQ&A形式で確認
Q1. 地盤改良における改良材とは何ですか。
A1. 改良材とは、軟弱な地盤に加えて必要な強度や安定性を持たせる材料のことです。地盤改良の成否は、この材料の選定と計算に大きく左右されます。特にセメント系や石灰系の改良材は、道路や建物の基礎づくり、仮設的な固化処理などで役割が異なるため、目的に応じた使い分けが重要です。
Q2. セメント改良はどのような場面で選ばれますか。
A2. セメント改良は、地盤の強度を長期間にわたって高めたい場面で選ばれやすい工法です。道路や建物など重要な構造物の基礎では、安定した支持力が求められるため、セメント系改良材が使われることが多くなります。さまざまな土質に対応しやすい点も、実務で採用されやすい理由の一つです。
Q3. 石灰改良はセメント改良とどう違いますか。
A3. 石灰改良は、セメント改良に比べて一時的な固化を目的に使われることが多い点が特徴です。たとえば浚渫工事で河床をいったん固めたい場合などに向いています。ただし用途は仮設的なものに限られず、長期的な強度確保に使う場合もあります。土質や周辺条件を見て柔軟に選ぶことが大切です。
Q4. 改良材の最小添加量はどのように考えればよいですか。
A4. 改良材の添加量は、単純に一律の数値で決められるものではありません。土質や地盤の性状、改良材の状態によって必要量が変わるためです。目安としては、浅層改良で粉体のセメントを使う場合は50kg/㎥程度、石灰改良では30kg/㎥程度が示されていますが、実際は現場条件を踏まえた判断が欠かせません。
Q5. 改良材の選定で土質条件を見るべきなのはなぜですか。
A5. 改良材の選定で土質条件を重視するのは、同じ材料でも地盤との相性によって強度の出方が変わるためです。セメントは幅広い土質に対応しやすい一方、相性がよくない土では石灰を選ぶことがあります。周辺環境への配慮が必要な現場でも材料選びは変わるため、事前の土質把握が施工品質を左右します。
Q6. 地盤改良で水セメント比が重要なのはなぜですか。
A6. 水セメント比は、セメント改良で強度を発現させるうえで重要な管理項目です。水が多すぎても少なすぎても、狙った強度に届きにくくなるためです。改良土量、配合量、洗い水を含めて使用水量を正確に計算することが、品質の安定と手戻り防止につながります。計算の正確さが施工結果を左右します。
Q7. 改良材の計算はなぜ地盤改良の成否に直結するのですか。
A7. 改良材の計算が重要なのは、必要な強度を出せるかどうかが配合設計でほぼ決まるためです。材料が不足すれば支持力が足りず、逆に過剰ならコストや施工性に無駄が出ます。地盤改良では、改良土量と添加量、水量のバランスを適切に見極めることが、品質確保と経済性の両立に結びつきます。
Q8. 改良材の使い分けで失敗を防ぐには何が必要ですか。
A8. 改良材の使い分けで失敗を防ぐには、目的、土質、周辺環境、必要強度を切り分けて考えることが必要です。恒久的な強度を求めるのか、一時的な固化でよいのかで選ぶ材料は変わります。加えて、マニュアルの目安値だけに頼らず、現場条件に合わせて計算や検討を重ねることが、安定した地盤改良につながります。







