ラップルコンクリートの設計

2022年11月21日 地質

ラップルコンクリートとは何か?詳細な説明とともに、ラップルコンクリートの設計を行う際の考え方や設計手順を解説します。ラップルコンクリートは、基礎地盤としての役割を果たすため、地盤強度が重要な要素であり、それ以外に求められる性能は無いのです。

ラップルコンクリートの設計

攪拌状況

 ラップルコンクリートとは?

まず始めに、ラップルコンクリートについて説明します。ラップルコンクリートとは、基礎下面から支持地盤までに設ける無筋コンクリートのことを指します。構造物は、一定の地盤強度を持った支持地盤の上に建設されます。しかし、地形や地質の特徴から軟弱地盤エリアに構造物を建設することが求められるケースがあります。そういった場合には、軟弱地盤をラップルコンクリートに置き換えて要求される地盤強度を保有させた上に構造物を建設します。そのため、本工法は、置換工法とも呼ばれます。

ラップルコンクリートの語源

そもそも、ラップルとはどういう意味なのでしょうか?実はラップルとは、単純に英語Rubbleをカタカナ読みした言葉なのです。英語Rubbleとは砕石を意味しており、粗骨材に砕石を用いたコンクリートというのが語源になっています。

設計時の考え方

ラップルコンクリートの設計において、必要地盤強度が最低限確保できていれば良いというのが設計の大枠です。土木・建築構造物において内的安定(崩壊しない状態に保つ)照査を満足するためには、壁・柱・床・梁・屋根・階段などの主要部材が重要になります。基礎地盤において重要なことは、地盤強度(支持力や地耐力、極限支持力)であり、当該地盤が構造物の基礎として、構造物を支えることが出来るかを示す数値のことです。

土留め擁壁等の土木構造物を例に挙げると分かり易いと思います。擁壁設計において、外的安定の照査としては、滑動・転倒(偏心)・支持の照査があります。本照査において、基礎地盤の地盤強度が関わる照査は支持の照査だけです。このように、ラップルコンクリートの性能が影響する照査は、地盤強度(支持力や地耐力、極限支持力)だけなのです。

設計手順は、構造物の規模、基礎の形状、地盤の状況を考慮して用途に応じた適切な強度と安全を第一とします。基本的には、直接基礎あるいはラップルコンクリート基礎と同様に造成体底面部における総荷重度に対し地盤の地盤強度(支持力や地耐力、極限支持力)が上回る事を確認します。そして、総沈下量が許容される範囲内である事を確認して照査を合格します。ここで、一般的にラップルコンクリートの重量は、体積×2.3t/m3で計算されます。

ラップル基礎の概要と問題点については、別記事でも詳しく解説しておりますので、こちらの記事もご参考頂けると幸いです。

『ラップル基礎の概要と問題点(https://www.serita.jp/geology/rubble/)』