技術提案をする上で押さえておきたい「総合評価落札方式」とは?

2024年04月01日 総合評価

総合評価落札方式は工事の入札方式の一つであり、入札価格だけでなく、技術提案も評価の対象としたものです。とはいえ、詳しい入札方式の内容について知らない方も多いのではないでしょうか。

今回は、技術提案をする上で押さえておくべき「総合評価落札方式」の概要や、メリット・デメリットを紹介します。

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技術提案における総合評価落札方式とは?

総合評価落札方式は、入札価格だけでなく技術提案(工事の質や内容など)も評価対象にする入札方式です。この方式では、最低価格の入札者が必ずしも落札者になるわけではなく、技術力が高い企業が有利になります。

この方式の導入背景には、公共工事の価格競争が品質低下や環境破壊を引き起こす可能性があるため、技術提案を評価することによる品質向上を目的としています。

この方式は、公共工事の品質確保を法的にサポートするために、2005年に法律が制定され、国や自治体で採用されるようになりました。評価項目には、価格以外の総合的なコスト削減、施設の性能向上、社会的要請への対応などが含まれます。評価基準は、環境への配慮、交通確保、省資源・リサイクル対策、安全対策、組織体制、過去の実績、創意工夫などです。

 

総合評価落札方式のメリット・デメリット

ここでは、総合評価落札方式におけるメリット・デメリットをそれぞれ確認し、適切な技術提案書の作成につなげましょう。

メリット

相互評価落札方式のメリットは、次の通りです。 

  • 品質向上とコスト削減の両立(発注者側のメリット)
  • 均等な競争環境(事業者側のメリット)
  • 地域と環境への配慮(地域・環境へのメリット)

 総合評価落札方式は、工事の品質を向上させつつ、コストの削減を実現できるメリットがあります。発注者は価格だけでなく技術提案を評価するため、高品質な提案を受けられます。

また、事業者側は企業規模に関係なく、技術力や提案力が評価されるため、中小企業にも落札の機会が与えられることは大きなメリットです。

 そして、工期の短縮や環境に配慮した提案が評価され、工事中の渋滞や騒音の軽減、自然環境への悪影響の最小化に寄与します。

 

デメリット

一方、デメリットには次のような要素が存在します。

  • 公平な評価の難しさ(発注者側のデメリット)
  • 人材確保の難しさ(発注者側のデメリット)
  • 時間のかかりすぎ(発注者側のデメリット)
  • 多くの提出書類(事業者側のデメリット)

 発注者は提案内容の公平な評価が難しい場合があるため、発注者は評価項目や数値化方法を事前に明確に定める必要があります。透明性の高い評価プロセスを確保するためには適切な人材が必要であり、一部の自治体では人材確保が難しい場合もあるでしょう。

さらに、公平な審査に時間がかかるため、受注者の確定までに長い時間を要することから、プロジェクトの開始が遅れる可能性があります。 

また、事業者側は提案内容を包括的に示すため多くの提出書類を用意する必要があり、手間と時間がかかります。 

このようなデメリットを理解した上で、総合評価の点数を高められる技術提案を行いましょう。